「復刻 デザイン・サーヴェイ」が彰国社より発行されました。 これは1960年代に法政大学宮脇ゼミナールと明治大学神代研究室が、雑誌建築文化に発表したデザイン・サーヴェイの記録をそのまま復刻したものです。
宮脇ゼミナールは木曽の「馬籠」、近江の「五個荘」、四国の「琴平」の3ヵ所、神代研究室は香川の女木島、京都の伊根亀山、壱岐勝本、高知の沖の島の4ヶ所が当時の雑誌の体裁のままに掲載されています。 デザイン・サーヴェイとは、一つの町、集落を丸ごと調査し、図面化、分析を行い、その町なり集落が持っている魅力のよって来たる所を探るという方法で、当時この2つの研究室以外にも多くの大学が行っていました。 この本の巻頭に書かれた言葉を一部引用します。 「デザイン・サーヴェイには、別に規則があるわけではなく、あくまでもデザインの魅力のよって来たる所を実測することと、集落を対象にしている点が、歴史家の遺構の実測と違っている。神代研のデザイン・サーヴェイが、祭りの調査を兼ねているのは、集落の美しさを支えている共同意義をも、合わせ捉えようとしているからである。」 (神代雄一郎) 「おのおの異なったサーヴェイの結果が、できるだけ多く、集積され重ねあわされた時、その結果としての都市なり、建築なりへの地味ではあるが地に足をつけた方法が見つけ出されるに違いない。そうした結果が出るまで、僕たちはさまざまな方向から、この面倒くさく、手間ばかり食い、そのくせ大向こうをうならせる結論が出なくて、現状分析的であると当たり前のことを言われる作業を続けねばなるまい。」 (宮脇檀) |