内と外の選択的浸透性
−渋谷区猿楽町における滞在型図書館の提案−
設計概要
単調なヴォリュームの集合からなる都市空間は退屈である。内と外の一体性に建築の本当の魅力が存在しているのではないかと考えた。本研究は建築が造られることにより必然的に生まれる内と外の在り方を再定義する試みである。内と外という境界を造りだす最もピュアな建築的要素として壁を取り上げ、そこから全ての機能、構成を考える。
そこでヴォリュームからなる閉じた壁面に切り込みを入れ、解体し実質的な建築の境界と壁体とをずらすことによって内と外とを跨いで隅を配置させる。それによってできた空間は内でも外でもない2.5次元の空間が生まれる。それによって部屋の気積は外部まで延長され、建築面積では計れないそれ以上の広がりを獲得することが出来る。そしてまた建築は都市との親和性を増し、提案される中間領域は建築と都市とを繋ぐ重要な接点となり建築と都市が一つの連続隊となる。
ここでは居室と外部環境の関係が強く求められる図書館を設計対象とし、街・図書・森がそれぞれが多様な領域性をもって相互に絡み合う新たな公共施設を目指した。 |