山の手斜面地にアダプトする
場の論理と空間構成に関する考察
設計概要・コンセプトなど
東京には意外性が潜んでいる。一見均質な建築が市街地を覆っているように見えるが、豊かな起伏の変化を内包する東京・山の手の斜面空間には、いろいろな建築が地形にアダプトすることで要素の継承・創出を繰り返しながらアフォーダンスに結びつき、「場所」を作り出している。
それは建築のデザインコード・空間演出・記憶の継承方法などの様々なレベルに住まい手の創意と工夫を集積し、固有の場の表情を生んでいる。それを明らかにするにあたり、東京の地形に見出された場の論理を考察すると共に、建築が微地形にアダプトする方法を、サンプリングをしながら論じている。
すると地形豊かな東京の下部構造には近世に定着した身分制度と地形の相関性が根強く存在することが見え、建築が変容しても場の論理として継承されており、東京の都市原理は地形にアダプトし、まさにヴァナキュラーともいえるが姿を現し、地形と結びつくと不思議と東京らしさへと様変わりする要因といえる。これこそ個性派都市東京の持続的発展を育むものではないだろうか。 |