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大学を卒業して10年経ち、最近になって木造建築が面白く感じてきた。 ホールダウンで足元をしっかり固定した建物が崩壊し、片やホールダウンで固めなかった木造3階建て(試験体2)は、加振開始直後に柱脚が引き抜けたが、建物が崩れることはなかった。 かつて戦後日本の住宅政策によって、賃貸住宅から持家へ、小さな住宅から大きな住宅へ、マンションから一戸建て住宅へと誘導し、著しい経済成長を遂げた。しかし、そのスクラップアンドビルド体制が、幾つかの弊害を生じさせてしまった。スクラップ率50%。2戸の住宅を建てるために1戸を解体していった。石膏ボードの使用量の増加とともに産業廃棄物の排出量も増加していった。輸入建材の使用量の増加とともに国産木材の自給率は低迷し、日本の林業の維持は、困難になってしまった。このままではいけないと関係者たちが騒いでいるが、出口が見出せないでいる。 以前『美味しんぼ』(第592話)という漫画のなかで、「日本の家屋で木材を、それも国産の木材を使う率は恐ろしく低い」というセリフがあり、理由として、「ひとつは、日本の建築学会が1959年に木造建築を否定したんです」との記載があった。「一級建築士の試験では木造についていっさい扱わないし、大学でも木造建築を教えない。」と続いた。耳が痛い。 1959年の木造禁止令から35年後、偶然にも建築を志し、それから15年経って、最近やっと、木造建築が、経済や環境に大きく影響してきたことに気が付いた。 そういう意味では、自分にとっての木造建築は、もはや古いものではなく、新しい可能性を秘めた物に感じられるのだ。 |
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