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法政の顔ともいえる55・58年館は、以前何度か訪れた事はあり、知ってはいた。建築学科を出て、設計の世界に入り30年近くになるが、やはりあの姿は忘れることはなかったし、いや、この道で仕事をすればするほど、気になる存在になっていた。そんな時、この校舎の見学会があることを耳にした。思えば何度か訪れた事はあったが、それは何かの用が有ってのことで、目的が済めば、多少付近をウロウロはしても、教室等の中や屋上までは、少々の遠慮もあり、やはり全体は見てはいないだろうと思われた。ならば、この機会に改めてじっくり見られるのであればと思い参加することにした。 まずは、外堀の対岸からの雄姿を再確認したいと思った。そうだ、河原さんの学生会館は既に建て替えられたと聞いていたし、他大学のような高層棟も加わったと耳にしている。それら全体は、いったいどの様に見えるのかが気になったのだ。 この様に自由で美しいファサードの秘密のひとつは、外壁側の丸柱の外側に窓ガラス面を離して取り付ける、カーテンウォールの手法が成功しているためであろう。こうすることで、構造体である無骨なコンクリートの柱が外壁のガラス面に現れてこない。このことが外壁カーテンウォールのデザインに自由を与え、軽やかで魅力ある立面を可能にしている。更に注目すべきは、上部の白黒パターン模様のガラス面の後ろ(建物内部)に隠されていた、コンクリートの丸柱が、下層の1、2階では、今度は外部に姿を現し、上部の軽やかなカーテンウォールの壁面を力強く支えるという、コンクリートが持つその本来の表情を遺憾なく発揮するのである。このひとつのモチーフで、異なる2つの表情を作り出し、それらが心地よい対比(バランス)をなし、そして両者が共にお互いを引き立てあっているのである。 私は、設計が上手いとか、建物が良いというのは、この様なことの積み重ねであろうと思った。つまり時間を掛けよく考えられているのである。ものの構成が道理にかなっていて、無理が無く、流れるように自然なのである。見るたびに様々な発見があり、設計への真摯な姿勢についても語っているかのようであった。 見学会は正面1階ピロティ部に集合し、主には教室、屋上、学生ホール、南側庭園へと案内された。その過程でも感じるところが多々ありましたので、機会があれば次回としたいと思います。
PAO建築設計
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