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長崎県壱岐市。ここは、福岡の博多港から西北西方向に高速船で約1時間、玄界灘に浮かぶ人口2万7千人の島です。私は2008年4月、博物館の建設工事に伴い、現場監理の仕事で初めて壱岐に来ました。壱岐に来る以前は、都内で設計事務所をしていました。しかし都会の雑居ビルで働く環境に違和感を抱いていました。その頃、前職の設計事務所から壱岐での現場常駐の仕事依頼がありました。私は良い機会だと思い、すぐに壱岐行きを決めました。壱岐で見るものすべてが新鮮に映りました。晴れ渡る空、きれいな海、生い茂る緑に広がる田園風景。漁船群に牛の群れ、そして元気に遊ぶ子どもたち。すぐにこの島の魅力に惹かれていきました。
この島で暮らしていると、島の人達は本当に面倒見が良いと感じます。私が最初に住んでいた借家は庭がありましたが、私は庭の手入れなど何もしていませんでした。そしたら隣家の老夫婦が私の庭の芝刈り、剪定、家の外まわりの掃除までしてくれました。また、その借家には、ポストがありませんでした。急遽、私はドアノブに袋をぶら下げ、ポストと書いた紙を貼っておきました。すると、次の日にこれも隣家の方が作った木製のポストが玄関先に置かれていました。しかも赤く塗装され、蓋には白い文字で「森田」と名前が書かれていました。大家さんでもない方がそこまでしてくれるのかと思いました。
現在は別の借家に引っ越しましたが、最近も洗濯機が壊れたので玄関先に洗濯機を出して出張にでていたところ、近所の漁師さんから電話がありました。「どこにおるとね」。大型の台風が壱岐を通り、洗濯機が道路に転がっていたそうです。2回も転がったので2回とも元の位置に戻しておいてくれました。
2010年に島に残ると決めてから、地域の為の活動を開始しました。長年使われていなかった国の登録有形文化財「旧松本薬局」の清掃をし、茶道教室を開講したり、勝本浦という江戸期に捕鯨で栄えた漁師町を地元ガイドが案内する「勝本浦あるき」を観光商品化したり、地元の方と活動を行っています。今後は街並み保全、景観の事業を中心に活動ができたらと思っています。
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長崎県壱岐市 勝本漁港 |
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毎日店先に並ぶ勝本朝市 |
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勝本浦あるき_大正の古民家カフェ大久保本店 |
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イカが干された街の風景 |
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