私の大学生活の一番の思い出は、数寄屋建築に出会ったことです。
学生の当時、建築研究会というサークルがありました。
そこに所属すると、京都の数寄屋建築を見に行けるというのです。
誘われた時は数寄屋建築なんて知らないし、「新手のナンパか?」と思いましたが、とても熱心に誘ってくれたので行ってみることにしました。
とても熱い夏で、京都の水が干上がるほどでした。
今でも、修学院離宮の隣雲亭に上ったときの感動が忘れられません。
目の前に広がる景色と風の気持ちよさ。
微笑んでいるかのように佇む茶屋。
あの時始まった「数寄屋LOVE」な感覚は、いまだに続いているのです。
今で言うなら「数寄屋萌え〜」でしょうか。
卒業した後は数寄屋建築に携わりたくて、東京ならココしかない!と、とある工務店に就職しました。
数寄屋建築の物件は多くないので、携われる時間は少なかったのですが、原寸を描き、大工さんが刻み、茶室が出来上がるのはとても楽しい仕事でした。
でも本当に少ないのです。
会社の仕事では足らず、自宅に茶室を作ってしまいました。
予算や敷地形状に難があり、セオリーどおりに出来ませんでしたが、
その時のベストは尽くしたんだ!と思うようにしています。
忙しい日々を過ごした後、茶室で一服お茶を喫するのは格別です。
会社を辞めて独立した後は時間が増えたためか、客人が増え、皆様にお茶を差し上げています。
茶室の不思議なところは、客人とお茶を喫していると心の距離が縮まることです。
心の距離が縮まると、人は本音を出したくなります。
なので、茶室で人が集まるとついつい長居して、おしゃべりになってしまうのですね。
そんな空間を一つでも多く作っていきたいと思います。
日々精進ですね。
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