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幼少の時より父に映画によく連れて行ってもらい、高校生の頃は映画を自ら作るようになっていた。将来は映画に関わる仕事に就きたいという夢を持ち、大学進学も映画映像を作る学科に進みたいという希望もあった。しかし付属校に通っていたこともあり、ご存知の通り我が校法政大学には映画に携わる学科は存在しない。そこで悩んでいた私に対して父の「映画と建築は似ている」という言葉もあり、何となく建築の道に進むことになる。 最初はピンとこなかった父の言葉も、建築を学ぶにつれて映画と建築の類似性について感じるようになった。映画は場面を造り、その流れ、繋がりでストーリーを造り上げていく。建築は空間を造り、実際にその中で暮らし、過ごす人々の体感によりストーリーが生まれて行く、またはそのように仕向ける。場面=空間であり、ストーリー性があるということは映画も建築もモノ造りの根幹としては同じであることを実感するようになる。実際に故武者先生の講義の中でも建築を映像を通して表現するというものがあった。 最初は映画の道に進みたかった私も、気づけば建築の道に進んでいた。それも大学時代に感じた映画と建築の類似性があったからであろう。その実感は仕事でも役立っていると思う。私にとっては建築に重要なのはストーリー性だと思っている。私は商業空間を生業としているが、非日常的な商業空間において人々を楽しませるのは、非日常的なストーリーだと思う。 そんな私も父親になり、自分の子どもを映画に連れて行くことが多い。いつしか子どもが映画の道に進みたいと言うようになった。さて、今度はどんな言葉をかけてやろうか。 |
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