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2016年9月、イタリア・サルディーニャ島の『アルベルゴ・ディフーゾ』を訪ねた。アルベルゴ・ディフーゾ(Albergo Diffuso)とは、直訳すると「分散された宿」。宿泊施設が一つの建物で完結するのではなく集落やまち全体に広がりを持って、こちらの建物はレセプション、食堂、また、こちらの建物は部屋と、まち全体をホテルに見立てたイタリアでの集落再生、地域再生、地域経営、観光まちづくりの取り組みです。そもそもは、地震からの復興再生のためにと、地域経済学・マーケティングの大学教授であったジャンカルロ・ダッダーラ氏によって1982年に考案されたものです。現在、イタリア全土で110箇所を超えるアルベルゴ・ディフーゾがアルベルゴ・ディフーゾ協会に加盟、近年、特に高く評価されて大きく広がっているとのことです。私が瀬戸内の「島」に暮らしているので、同じ「島」を訪ねるとよいのではとアドバイスを受け、6泊7日、5箇所のサルディーニャ島内のアルベルゴ・ディフーゾを訪ねることにしました。 最初に訪ねたのは、カブラスという西海岸にある小さな集落、海、入江のラグーナに面した素朴な町。その海に面して建つ立派な教会が印象的です。レセプションでオーナーと話をしているとサン・サルヴァトーレ教会に男たちが裸足で駆ける祭事が先週終わったばかりだとその様子のわかる動画を見せてくれました。ちょっとしたプールのある別施設には少女や女たちが聖像を運ぶ祭事の写真は壁に迫力満点で掲げられ地域の民俗性が強くアピールされています。 少し山あいに入りサントゥ・ルッスルジュというとってもチャーミングなとっても小さな集落のアルベルゴ・ディフーゾを訪ねました。ナビが教会のバットレスのアーチの下を通るように指示、車一台やっと通れる街路を辿ってレセプションのある建物に着きました。ダイニングとなっている中庭には柿の木とレモンの木がシンボルツリーとして植えられ心地よいです。泊まる部屋は歩いて3分程のところ、ヒューマンスケールな街路を歩くのは心地良く、まるでこの町に暮らしているような気分になります。 ボーザは川沿いの町です。川筋に沿って街がつくられ、そのまま裏手が石畳の中心街、チェントロ・ストリコで素晴らしい。そしてここのアルベルゴ・ディフーゾは、リバーサイド。聖母像の水上行列「海のマドンナ」の祭事があることでも知られます。 トレズヌラーゲスという高地の小さな村にあるアルベルゴ・ディフーゾは、ボーザのすぐ側ですが、風景やおかれている環境は全く異なります。望む風景が凄いです地中海を雄大、というより壮絶に圧倒的に望んでみます。教会では丁度6時のミサでオザンナが歌われていました。地中海を望むこの風景は、まさに、天のいと高きところにオザンナのようです。 バレッサという少し内陸に入って、サルディーニャから発つカリアリの空港に程なく遠くなく、とっても小さな村のアルベルゴ・ディフーゾを訪ねました。若いアルベルゴ・ディフーゾのオーナー自ら説明され、近くにある民俗資料館、また、タウンウォッチングと大車輪の活躍です。サルディーニャでのラストです。 どのアルベルゴ・ディフーゾもオーナーの方やマネージメントされてる方の思いや個性、また得意とする分野へのこだわりが強く感じられます。また、利用している施設、建物は、全てリノベーション。家具や調度品、素敵な写真の民俗性へのこだわり。食の地元産へのこだわり。自転車、プール等の健康なアスレチック指向は共通で指向しているようでした。自然、民俗、歴史が融合して生まれるサルディーニャの独自性や真正性。それに、食、自転車などの健康指向が加わり、素朴ながらもとても魅力的なサルディーニャのアルベルゴ・ディフーゾがつくられ、それによる集落再生・地域再生・観光まちづくりを目指しているように思えました。また、故郷である瀬戸内の島「生口島」の集落再生・観光まちづくりにおいても大いに示唆されるものでした。 |
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