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名古屋で設計活動をしている。設計では個々の建築に向き合うことになるが、殊のほか建築と周辺地域の関係を意識してきたと思う。このことは、「都市と建築」をテーマに取組んでこられた、河原先生や陣内先生、そして勤めていた槇事務所の影響が大きい。また、近代の都市空間や景観についても「これでいいの?」という思いも強い。人口減少、高齢化、情報化が進み、都市は大きな転換期を迎えているという。 そんな中で、JIA(公益社団法人日本建築家協会)の支部大会「けんちくかフェス2019」を「まちなか」で行った。「まちなか」にこだわったのは、建築家のアクティビティ(活動)をまちに伝え、自らまちを楽しみ、そしてまちの可能性を探るのが狙いであった。会場としたエリアは名古屋駅から程近く、江戸の遺構が残る堀川、四間道界隈、建築家も加わり再生した円頓寺商店街。「あいちトリエンナーレ2019」の会場でもあり、市民との交流も期待した。これまで大会は、ホール、宴会場など閉じた施設で行っていたが、これを機に商店街のボルダリングジム、カフェ、バルを会場とした。 「けんちくかフェス」は6日間行われ、最終日には陣内先生に「まち歩き」と「講演」をお願いした。「まち歩き」はフィールドを共有する目的で、堀川、五条橋、美濃路、四間道、路地を歩く。町屋や蔵をリノベーションした店舗、クラウドファンディングにより賃貸住宅に再生された町屋、新旧入り混じった店舗、仕事場、住居があり歩いていて楽しい。「講演」は初めての試みで不安もあったが、商店街のボルダリングジムで行った。扉をオープンにすることで、気配がまちに溢れ出し、行き交う人々が興味深げに覗き込む。心地よいライブ感に浸った。 翌月の夕暮れ、友人にこの界隈を案内していると「一緒にどうですか?」と声をかけられた。見れば職場でパーティーをしている。その自社ビル(映像制作会社のよう)の1階には、羨ましいことにバーカウンターが設えてあり、交流から生まれる創造やイノベーションを楽しんでいるようだ。こうした思いがけないことに遭遇するのもまちの魅力だろう。
生き生きとしたまちや建築は何によるのか?
戦災を逃れたこのエリアは歴史や文化の蓄積があり、ヒューマンスケールで、歩いていて心地よく、多様な使われ方を許容し、創出している。こうしたまちなかのアクティビティの体験や観察は、計画の前提として大きな意味を持つに違いない。
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