no.119

Shetland紀行
2020年5月  

飯塚 有葉(1998年修了 大江新ゼミ) 


 テキスタイルに関係した仕事をする中で、糸を紡ぎはじめ10年ほど過ぎる。休みの日には糸を紡ぎ、編んだり織ったりしている。究極の手紡ぎ作品の一つにShetland Laceがある。

 Shetland Lace は、Shetland種という独特の毛質を持つ羊の毛を極細く紡ぎ、2本棒針で編み上げる手紡ぎ手編みショールである。最上級のものは、1m四方のショールが指輪の間を通せるほど薄いといわれている。日本では実物を見ることはできないので、2018年の夏、現地を訪れた。

 ロンドンでイギリス国内機に乗り換え、アバディーンから定員30名ほどの小型双発プロペラ機でShetland諸島のMainland島に渡った。空港から首都Lerwickまでの約1時間の道中、バスの左右は牧場で囲まれており、次々と現れる小高い丘に点々と白い羊や牛が見える。住んでいる人口よりも羊の数が多いといわれる。

 Shetland諸島の最北端Anst島は特に繊細なレースが有名で、そこにあるレース博物館に行くことができた。Lerwickからは1日2本の路線バスで行くことができる。島と島はフェリーでつながっており、バスごとフェリーで島を渡って行く。揺れがないフェリーは、出発しているかどうかがわからず、いつの間にか次の島についていた。

 旅行中、羊・馬・牛・手工芸品の品評会にも遭遇した。牧場では羊はすぐに逃げて行ってしまうが、この会場では柵に入っているため、間近で様々な種類の羊等を見ることができた。手紡ぎ・手編みのデモンストレーションも行っていた。特に手編みについては、非常に高いスキルで、複雑な模様編みを手元も見ずに編み進めていく。

 観光地のためか、人は皆親切で、買い物をすると、その品物がいかに良いものか褒めてくれた。量が多い料理を頼むと、シェアした方がいいとアドヴァイスをくれる。犬や猫、牧場の馬までがフレンドリーで多くの犬猫が声をかけると寄ってきた。羊だけが人を警戒し、近づくと逃げて行ってしまった。広い空と手入れの行き届いた美しい庭。広い牧場でのんびり過ごしている羊。繊細なレースが作られた風土を体感できた旅だった。

 

 

 
 
   
   
 

 

   
   
   
 
   
   
   
 
[プロフィール]    
いいづか ゆは    
飯塚 有葉 1998年修了 大江新ゼミ

   
1998年 本学大学院修了(大江新ゼミ)
1999年〜文化服装学院に教員として勤務。
テキスタイルデザイン、コンピューターグラフィックを担当。