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雨が降るとどこかわくわくする。
雨上がりに水たまりがある。水たまりは普段何とも思っていなかった地面に点在して現れる。この点在を少し考えてみると、水のたまる地面部分は器のように少し窪んだ場所に雨水が集まり溜まっているのだ。地面は平らでない、凸凹なのだ。水平垂直を床、壁の基本とする生業のせいか、晴れた道ではそこに意識は向かない。水たまりが現れて初めて、世界が凸凹だらけだという事実に意識が向かう。
暑い季節に突然降る雨は地表のアスファルトを打つと、雨上がりの世界には独特の匂いが立ち込める。普段目には映らない、地表にたまった砂や塵が大気に散った砂埃である。雨上がりの高い湿気が体に纏わりつきながら、乾きのメタファとしてこの匂いの世界が不思議な感覚を抱かせる。
近年度々発生するゲリラ豪雨。突然の豪雨に出会い立ち止まったことは誰にでもあるだろう。豪雨の中軒を借りてただ街の中で立ち尽くす。車が通っても、人の会話も、雨にかき消され、雨音以外の音が消失する。普段ではありえない、音のない世界はどこか夢か映画の中にいるような世界に自分が存在する錯覚を生む。
僕は雨による世界の微妙な変化を発見し、興味があり、どこか美しさすら感じている。この微妙な変化を感じ取り世界を見るということは、僕自身が設計を行うときに大事にしている感覚だ。世界を少しだけ違う角度から眺め、そこにある変化を汲み取り、喜びを享受する。この感覚を大切にし、生を謳歌していくことが最近の自身の向かう方向である。
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