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僕は2018年に独立して、3年が経った。以前勤めていたSANAA/Sejima And Nishizawa And Associates での経験を生かして自身の設計事務所を始めてからというもの、新たにゼロから「建築」に向き合い始めた立場として、言わずもがなこれまで以上に様々なことを身をもって体験し、考えている。 例えば、プロジェクトの多様性とその仕事の意味の多様性である。前職時代に主に担当していた案件はパリや上海での数万平米の大型プロジェクトで、国内の一番小さいものでも2000平米前後であった。それに対し独立してからは建築の仕事よりも店舗内装やマンション改修など100m2以下の案件が多く、そのスケールと密度の違いに戸惑った。最近では住宅やオフィスビルなどの設計や地方創生のプロジェクトを通してそのスケールと密度の振れ幅や、仕事ごとの性質の違いにとても楽しくのめりこんでいるが、このような戸惑いを通して建築というのは本当に奥深く幅の広い職業であると改めて感じている。 建築という大きな括りの中に、様々な業種や職種があるように、建築家という括りの中にも様々な職能の広がりがある。家具やプロダクトのデザインから都市開発のようなプロジェクトまで建築家として取り組める範囲は幅広く、さらにはビルディングタイプでの建築家としての専門性の違いもある。プロジェクトの多様性は僕たちが何を重要視し、何を語ろうとしているかの多様性を生み出しているとも言える。どのプロジェクトも全く異なる問いを投げかけているし、それは仕事自体の意味の多様性を生み出している。それら様々な土俵の上で、スケールとスケールの境界や用途の敷居をすばやく、そして正しく移動しながら、プロジェクト自体が持つ意味を読み取っていくこと。そしてそのひとつの答えとして立ち上がる建築やコミュニティーを通して社会と接続していくことが建築家という職業なんだなということを最近改めて感じている。
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