no.138
熊谷 浩太(2011年修了 大江新ゼミ)
つくづく、自分の性分は、「プロデュース業」であると思う。
学生時代の修士設計も、後輩達とのチーム力でやり遂げ、大江研究室、最初で最後の大江宏賞を受賞するに至った。 今日までの社会人人生も常に、「プロデュースしていくこと」を意識してやってきた。
現在、社会人3社目のベンチャー不動産にて、開発や空き家の利活用の責任者として従事している。共同住宅、戸建て、リノベ、オフィスビル、店舗といった幅広い開発に加えて、空き家という社会問題を扱い、まちに新たな息吹を与える事業を行っている。 空き家の問い合わせは全国から大小様々な案件が飛び込んでくる。 今すぐにリニューアルすれば新たな価値を生み出せるもの、立地も物件もかなり厳しく手のつけようがないもの。 一貫して私が考えているのは、「止まってしまった点を動かし始めるために何をするか?」である。 デザインを尖らせればいいのか、コンテンツが面白ければいいのか、はたまたキーマンを呼び込めばいいのか、物件物件で様々な手法が必要となる。
今夏オープンさせた、世田谷区赤堤のシェアキッチン、「Maison de LABO MAL Fledge メゾン ド ラボ マルフレッジ」は、有名パティシエ引退と共に空き家となってしまう店舗を生まれ変わらせた。 単純に内装のデザインや工事のみを行うのではなく、資金調達をクラウドファンディングで行ったり、運営のための仕組みやホームページ制作、1Fテナントの紅茶店「Tea Maison」のパッケージやロゴデザインまであらゆるプロデュースを行った。
建築学科で学んだのは、「設計」や「デザイン」といった技術のみだったが、今世の中で求められているのは、それだけでなく、様々なソリューションを生み出せる「プロデューサー」的な発想だと思っている。 今後も自分がやりたいこと、やれることを狭めるのではなく、大きな視野で「建築」という世界に携われたらと思う。