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学部時代ろくに勉強をしていなかった自分が、4回生になる春休み(阪神・淡路大震災と地下鉄サリン事件があったとき)に中国を旅して、「何か、このままではいけないな」という想いで大学院に進学し、出会ったのが「神社の参道研究」と「まちづくりの講義」だった。今回は、今の仕事にも繋がることとなった「まちづくり」についての雑文。 出身の岡山に帰り設計事務所や民間企業などに勤めた後、以前から興味のあった公務員試験に年齢制限ギリギリで合格し、県庁で働き始めて20年。みなさんが思われているような、いわゆるお役所的な仕事もある一方で、公務員でしかできないような仕事もあり、それが都市計画ではないかと感じている。 コンサルタントが行う都市計画は、市街地再開発などの具体的なプランを描いて実行することで利潤を生むが、公務員が行う都市計画は、遠い将来に向かって方向性を定める、定めるといっても正解なんてわからないから、なんとなく示してみる、という方が正しいのかもしれないが、そんな曖昧な将来像を多面的に考えることだと思う。したがって、建築工事のような図面があるわけではないし、きっちりとした工期もない。都市計画区域マスタープランを読んだことのある人はあまりいないかもしれないが、それは面白味のない言葉の世界だ。しかし、その言葉の一つ一つには、人口推移や産業統計、土地利用、商工業、観光、福祉などなど、あらゆる要素が詰まっている。都市の将来の方向性を示す将来都市像の文言では、本当にこれで良いのか、文脈に不自然なところはないか、もっと的確でみんなに伝わりやすい言葉や表現があるのではないか、と毎日パソコンを叩いたり呟いたりして、まるで売れない小説家のよう。 そんな感じで、県庁の都市計画課で数年過ごしたのち、縁あって人口3万人ほどの市役所に出向することとなった。そこはまさに、まちづくりの現場だった。市の都市計画マスタープランや立地適正化計画には理想を言葉で紡ぎつつ、具体的な開発に向けては予算の確保手段を探る、といったナマの現場だ。都市計画は遠い将来を見ているけれど、それはこういった日々の積み重ねの連続でありながら、完成もゴールもきっとない。
最後に、都市計画に意見を述べるための公聴会に来られた男性高齢者が、「最後に一句」と言って残した言葉が、端的に都市計画を表現していて、今でも忘れられないので紹介したいと思う。
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