no.154

Architecture / Fashion / Theater – Art
2023年4月  

鍛治 瑞子(2006年 富永ゼミ修了) 


Architecture / Fashion / Theater

法政大学・大学院は富永研究室で学び、妹島和世+西沢立衛/SANAAにて9年間、海外や国内のプロジェクトを担当しました。事務所を退所後、作れるものの幅を広げるため文化服装学院にて服飾を学び、ニューヨークで衣装製作から舞台に関わるようになり、舞台美術や照明等も行うようになりました。帰国後独立(Atelier MIZUKO KAJI設立)。空間として表現することを軸に、建築・服飾・舞台、3つの経験を持つからこそ生まれる、それらの分野を横断、融合した作品づくりを行っています。

服飾も舞台も、建築と似ているようで違う、考え方・作り方・表れ方がありおもしろいです。服飾は、建築と同様に図形から形をつくる分野ですが、建築は平面断面図、服飾は展開図から形を描き出し、生地という柔らかく変形する素材を使った特有の形のつくり方があります。動くということも大事な要素です。舞台は、目の前に空間が立ち現れること、時間と変化についての考え方、ストーリーがあることが興味深いです。暗さの中に、光だけで空間を立ち上げることもできます。

図1・2は会場デザイン・照明計画・衣装を担当した「Awave」というコンサートの写真です。建築・服飾・舞台の経験を織り交ぜながら、空間全体をつくり上げた始めての作品になったと思います。

Architecture / Fashion / Theater → Art

2021年、それまでの3つの分野を合わせた作品をつくる場として、美術の展覧会に出展するようになりました。(図3・4「いちはらアートXミックス2020+」展覧会)千葉県市原市月出に廃校となった小学校をアートスペースとして活用している月出工舎という場所があります。そこで体育館を多目的スペースに改修する計画を担当しており、その計画の過程で月出の環境をテクスチャーから読み解いていった作品のシリーズを製作しました。建築のコンセプト・思考過程を、建築の記述方法に囚われることなく表現できないか試みたものです。

感覚 / 空間 / 分野・国

なぜ建築以外のこともしているのか聞かれることがあるのですが、1つ目の理由は、自分の手で実感してつくりながら、感覚と一体となったもののつくり方をするため、2つ目は、富永研時代から純粋な空間論に興味があり、近年建築が社会活動的な側面を強める一方で、建築の本質の1つである空間をつくるということを純粋に表現できないか考えており、それを表現する方法・場所(分野・国)を探しながら作品づくりをしています。

作品が少しずつ大きくなり、いつか建築的な大きさを持った、建築の要素を持ちつつも、建築の枠を超えた作品をつくりたいと思っています。

 

舞台と客席をつなぐようにスクリーンを配置し、空間全体で音楽と映像(光)を感じ取る
座席を3方向に配置し、見る位置に応じて、いろいろな奥行き・奏者との関係ができるようにしている
記憶の中の月出の環境を描き出す、触覚的なドローイング
月出の環境をテクスチャーから読み解く、ドローイングとインスタレーション作品の展示
 
 
 
[プロフィール]    
かじ みずこ    
鍛治 瑞子 2006年修了  富永ゼミ

   
2004年 法政大学工学部建築学科卒業
2006年 法政大学大学院工学研究科建設工学専攻修士課程修了
2006-2014年 妹島和世+西沢立衛/SANAA勤務
2015年 文化服装学院服飾専門課程服飾研究科卒業
2016-2017年 ニューヨークにて劇場系のコスチュームデザインを行う
2017年- Atelier MIZUKO KAJI 設立
2018年 法政大学デザイン工学部建築学科 兼任講師
2018-2020年 横浜国立大学大学院/建築都市スクール Y-GSA 設計助手
2020年- 法政大学デザイン工学部建築学科 教務助手

Website : https://www.mizukokaji.com