no.157

プーケットでCMrやってます。
2023年7月  

佐藤 俊輔 (2007年 阿部優ゼミ卒業) 


 日曜日の朝は海辺を散歩するのが習慣となった。私はアンダマン海を見渡せる高級ビラとコンドミニアムの開発に関わるCMr(コンストラクションマネジャー)として、タイのプーケットに2021年11月から赴任している。2009年の入社以来12年間、国内外の9現場で現場監督として施工管理を担当し、主に「請負者」の立場から経験を積んできた。だが今、私は「発注者」側に立ち現地開発会社の建設部門で、タイ人のCMr15人を束ねるチームリーダーとしてプロジェクトに携わっている。

 私達は、タイの開発会社と共同出資にてプーケット北西部の海辺で開発を進めている。その中で「誰が造るのか」という施工者選定業務は課題である。なぜなら、経済合理性や利便性を考慮すると日系やタイ大手ゼネコンを選べず、地元プーケットの工務店が施工者として選考対象となる為である。その為、施工管理能力に不安を抱きながらいかにして発注者が要求するデザイン・出来栄えをプーケットで達成することができるのかが、我々CMrチームに課せられた使命である。

 そこで、私は施工図の作り込みに注力している。プーケットではCMrチームが具体的な情報を現地の施工者へ指示し、一緒に施工図を作り込んでいく。例えば、シャワー室の床タイルの表記ではスロープと描いてあるだけでは不十分でどのくらいの勾配で施工するのか現場の作業員は分からない。そこでCMrチームが最大値と最小値のレベル表記を施工者に指示し施工図を作っていく。

 続いてCMrが施工過程において独自のルールを設け、実際の作業が施工図通りなのか検査し要求通りの出来栄えを確保していく。例えば、日本ではあまり実施されない防水工事前の躯体にて、CMr が72時間の漏水試験を施工者に指示し躯体自体の健全さを確認する。また、CMrが施工者と一緒にプールのタイル検査総数5000枚以上を打診棒による打撃確認をする。こういった根気を必要とする作業に対し、真摯なタイの施工者は逃げずに協力してくれる。

 プーケットの施工者が持つ良いものを造ることへのこだわりは、私のそれと変わらないと実感させられる。建物を造り上げるなかでこうした一体感と達成感を発注者・設計者・施工者そしてCMrのチーム全員と共有できることが私のやりがいである。海外で働く技術者として「合理的かつ科学的根拠に基づいたモノづくりを実践する」というモットーを持ち、日本の技術を現地に伝え各国の建設産業に貢献したい。
 

プロジェクト全景
ビラを上空から
 
ビラからの眺め
 
プーケットで始めたジギング釣り
 
 
 
[プロフィール]    
     
佐藤 俊輔 2007年卒業 阿部優ゼミ

   
2007年 法政大学 阿部研究室(構造系)卒業(研究テーマ『パンタドーム工法』)
2009年 早稲田大学大学院 嘉納研究室(建築生産系)卒業(研究テーマ『品質確保に関する研究』)
2009年 鹿島建設 入社
2009年 国内の建設現場にて施工管理
2014年 シンガポール 赴任
2017年 国内の管理部門から海外現場の施工支援(インド、チェコ、中国)
2019年 国内の建設現場にて施工管理
2021年 タイ 赴任 *現在に至る