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先日、会社の大先輩OGのデザイナーKさんと、ある仕事の関係でお会いしたとき、ふとしたきっかけで、彼女が世田谷の「ゆかり文化幼稚園」の評議員をされていることを知った。わたしがその園の卒園生であったという偶然から、いまの園の様子や、代々飼われている大きな犬(当時はほんと怖かった、、、)や、オリジナルの劇(踊りが苦手でした、、、)の話など、園の内輪ネタに花を咲かせた。
建築畑の方であれば、ご存知の方も多いと思う。「ゆかり文化幼稚園」は、設計が丹下健三先生で、構造は川口衛先生が担当されていた。代々木競技場をつくられた名コンビ。
扇状に傾斜した敷地に広がるユニークな構成の園舎。リズムカルで力強いヴォールト屋根は、園のアイコンである。内部は、サイズがいろいろな部屋や通路、くぼみのような場所など、さまざまな場面が仕掛けられている。
園舎についてのわたしの記憶はというと、日の光を受ける天井のザラついた表情や、壁のゴツゴツした風合い、スロープを滑る時の肌触りなど、質感をふくめたリアルな情景として憶えている。子どもは、とにかく何にでも触れたがる。手だけではなく、からだ全体を使って触れる。これは、見ることだけではなく触れることで、はじめて出会える体験があるということ。
大学院を卒業後、パブリックデザインの会社で、空間やプロダクトなど、さまざまなモノコトをつくる仕事をしている。今でも興味がある場所に行くと、とりあえず触れたくなる。いや、触れたくなるから興味がわく。職業病のようなものと思っていたが、改めて考えると、子どもが空間と出会うための作法を、今でも続けているのもしれない。とにかく、「ゆかり文化幼稚園」が、わたしの触れる空間体験の下地をつくっていることは間違いない。
社会人になり、「ゆかり文化幼稚園」を訪ねたい、と思いつつ、長い年月が過ぎてしまった。Kさんに、ここぞとばかりに、園にお邪魔する機会をつくってもらう約束をした。Kさんのお陰で、ふたたび園とのご縁が生まれそうだ。
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当時の園の犬とひな壇状の園舎 |
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園舎と園庭をつなぐスロープがお気に入りの場所。からだで触れ合う遊び |
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園庭にもさまざまな居場所がある |
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