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今から30年前、谷中の街歩きをしていたとき、目に飛び込んできたのが、青空を背景にしてスクッと立つ朝日湯の煙突でした。補強の金属ベルトとパネルで巻かれ、煤に汚れ満身創痍のような煙突ですが、思わず“格好いい!!”とつぶやいてしまいました。そこに、新しいものにはない時間の経緯が積層された物の美を感じましたからだと思います。
話は変わりますが、その頃はパソコンが普及し始め、文章作成も手書きからワープロに代わり始めていました。あるときワープロで作成した送付状を見直したとき、何か違和感があり、何かな?と考え、文末の送付者の私の名前を削除し、筆ペンで名前を書きましたら違和感がなくなったのです。デジタル(ワープロ)で作成した文章だけでなく、その中にアナログ(筆ペン)で書かれた名前が加わることで心のバランスも良くなったのだと思います。谷中の煙突を見たとき良いなと感じた背景にも、デジタル化が進む中でアナログの価値を見直す気持ちがあったのではと思います。
それ以降、休日には自転車に乗って銭湯や町工場の煙突を撮る趣味が始まり、撮影対象も煙突だけでなく、錆びた鉄板、朽ちた外壁、年期が入ったレンガ壁、さらにガード下などに広がりました。
長年撮り溜めた写真を改めて見直してみますと、そこには、煙突を含め現在では見かけることがない昭和の風景や、時間の経緯が累積されたアナログの美しさが記録されていました。
そこで、これらの写真を、私が個人的に保管するだけでなく、多くの方に見ていただこうと、今年の2月にWebsite「KIRIHARA Photo
Collection」を立ち上げました。そこに建築の写真を加え「煙突」「エイジング」「鉄道」「建築」の4つのカテゴリーで構成されています。
URLはhttps://kirihara-photo.com/です。
是非アクセスして下さい。
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朝日湯の煙突_撮影:1994年 |
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煙突と物干し台_撮影:1999年 |
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パッチワークの様な錆びた波板鉄板の外壁_撮影:2005年 |
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KIRIHARA Photo Collectionのフライヤー |
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